大学院2年の現在、私にとって大学受験という体験は、6年も前の出来事である。しかし、大学受験は、人生で最も大きな挫折の1つだった。だから、この本のタイトルにふと興味を持った。本書を読み、私が大学受験で第一志望校に落ちた根本的理由を理解した。
私の記憶に残った、本書の結論はシンプルだった。
受験において計られる能力は、単純な学力ではない。「受験学力」つまり、「どうやったら志望校に合格できるか」を考え、そのプランに沿った勉強を継続する能力である。
受験が終わり、第二志望校に入学した後、受験に失敗した原因を色々と考えた。
- 大学に行く目的が曖昧だった。
- 周りとの偏差値の比較にとらわれてしまった。
これ以外にも、様々な要因が重なり、失敗につながったのだと考えていた。でも、本書を読み、根本的理由はそれらではないかもしれないと思った。
私は高校生の時、基礎知識と応用力さえあれば、その学力に応じた大学には入れるものだと思っていた。全国模試で偏差値65くらい取れていれば、そのレベルの旧帝国大学には合格できるだろうと思っていた。
しかし、私は、「第一志望のT・H大学」の対策をほとんどしていなかった。つまり、赤本を一切解いていなかったのである。これは、和田氏の言う「受験学力」を伸ばすための最重要要素の1つを無視している行為だった。
大学入試問題には、その大学ごとの傾向が反映される。よほどの天才や、その大学に合格できる学力水準を大きく上回っている人でなければ、全く出題されない範囲・どこまで深くと問われるのか・絶対に出る分野はあるのかなど、情報収集をして戦略を練らなければならない。
私は、その作業を怠ったがゆえに、周りの「本気で、受かるための努力をしている」受験生に負けてしまった。
受験では、受ける大学に特化した「受験学力」が求められるとすれば、そこから、何が言えるだろうか。
それは、汎用的な知識や技術は大切だが、「能力を目的に対して『チューニング』して初めて、自身の能力を最大限に『生かす』ことができる」ということではないだろうか。
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