レーザー光の焦点を、サンプルの目的の場所にピンポイントで合わせることで、余計な情報をカットしたシャープな像を得ることができる。そんな顕微鏡の話である。
顕微鏡でサンプル表面を観察するとき、ピントがぴったり合っている位置から、対物レンズとサンプル表面の距離をわずかに変えても、実用上許容できるピントのズレの範囲がある。この範囲を、焦点深度と呼ぶ。すなわち、焦点深度が深ければ、ピントがぴったり合っていなくても、見た目はシャープに映るという訳である。
しかし、焦点深度が深いことで、ミクロ・ナノレベルの凹凸を判別したいとき、微細な(凹凸などの)構造は均質化されて見えてしまうため、検出されないという問題が発生する。
そこで、レーザー共焦点顕微鏡(Laser confocal scanning microscopy)では、照射された光がサンプル表面に焦点を結ぶとき、その反射光も検出器側のピンホールで焦点を結ぶように設計されている。
この光学系を共焦点(Confocal)系と呼ぶ。
下の図のように、サンプル表面からの反射光(赤)は、ピンホールを通り抜けるため検出器に到達する。一方で、サンプル表面付近からの光(緑、紫)はピンホールの存在によってカットされてしまう。これにより、表面の情報だけを取得することができるのである。
レーザー共焦点顕微鏡のメリットは、以下の通り。
- 焦点面からの光のみを検出できる。
- すなわち、焦点以外からの光をカットできる。
- 結果、ノイズ除去の効果があり、
(1)画像の高品質化
(2)焦点深度が非常に小さくなり、深さ方向の分解能が高くなる。
ピンホール径が小さいほど、分解能が向上するというメリットが存在する一方で、
- 光量が減少してしまい、得られる像が暗くなってしまう。
- 焦点深度が浅くなるほど、ピントが少しでもずれると、見たい対象物を見ることができなくなる。
すなわち、ピントの精密な制御が要求される。
というデメリットもある。
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