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問1:電気影像法を用いて接地された導体表面の誘導電荷を求める
1-1.
i)導体内部に電場が存在すれば、そこでは電荷の移動が起こり続けるが、静電平衡の状態では電荷の移動は起こらなくなる。すなわち、導体内部には電場は存在しない。
ii)導体内部には電場が存在しないから、\( – \nabla\phi = \mathbf{E}\)の関係により、電位\(\phi\)は一定である。また、電位の連続性を考えると、導体内部の電位と導体表面の電位は等しくなる。
iii)導体表面のどの場所でも、電位は一定である。すなわち、導体表面での電場は、「導体表面の接平面方向の成分」が0である。よって、導体表面での電場は、導体表面に垂直なベクトルである。
iv)i)より、ガウスの法則を考えると、導体内部のどの場所においても、電荷は存在しない。よって、導体表面にしか電荷は存在しない。
1-2.
\(x \rightarrow – \infty\)では、電位は明らかに0となる。また、ii)の性質を踏まえると、導体表面においても電位\(V = 0\)となる。
1-3.
\(x = 0\)の平面上では、どの点においても、2つの電荷が電位に及ぼす寄与が互いに打ち消し合うので、\(V = 0\)となる。
1-4.
ズ
1-5.
任意の位置\((x, y, z)\)における、2つの電荷が作る電場は
$$\mathbf{E} = \frac{q}{4\pi\epsilon _0}\frac{(x – a, y, z)}{[(x – a)^2 + y^2 + z^2]^{3/2}} + \frac{-q}{4\pi\epsilon _0}\frac{(x + a, y, z)}{[(x + a)^2 + y^2 + z^2]^{3/2}}$$
よって、\((0, a, 0)\)での電場は
$$\mathbf{E}(0, a, 0) = \frac{q}{4\pi\epsilon _0}\frac{(- a, a, 0)}{(2a^2 )^{3/2}} + \frac{-q}{4\pi\epsilon _0}\frac{(a, a, 0)}{(2a^2 )^{3/2}}$$
\begin{align*}
E_x &= – \frac{qa}{2\pi \epsilon _0}\frac{1}{(2a^2 )^{3/2}}\\
E_y &= 0\\
E_z &= 0
\end{align*}
1-6.
ガウスの法則より、面密度は
\begin{align*}
EdS &= \frac{\rho}{\epsilon _0}dS\\
\rho &= \epsilon _0 E\\
&= – \frac{qa}{2\pi}\frac{1}{(2a^2 )^{3/2}}
\end{align*}
問2:マクスウェル方程式と導体中を進む電磁波
2-1.
電荷\(\pm Q\)が蓄積されたコンデンサーから、下図のように電流\(I\)が流れることを考える。
ズ
i)この時、アンペールの法則によれば、上図のような回路を囲む経路\(C_1\)にそって、磁場の線積分をした値は、閉曲線\(C_1\)を縁とする曲面\(S_1\)を貫く電流\(I\)に等しくなるはずである。
ii)しかし、アンペールの法則の定義によれば、\(C_1\)を縁とする曲面を任意にとることができるから、上図の曲面\(S_2\)(1つの極板を覆うような曲面)もまた、電流が貫く曲面として許されてしまう。ここで、\(S_2\)を貫く電流は明らかに0であるから、アンペールの法則において、経路\(C_1\)に沿った磁場の線積分は0となることになる。これは、電流が流れている限り、i)と矛盾する。
しかしながら、極板の電荷は確かに変化しており、電流が0であるとすると、電荷の保存則に反する。
以上の矛盾は、\(C_2\)を貫く仮想的な電流として、「変位電流」を導入することで解決する。
2-2.
\(\mathbf{j}\)の生じた場所の周りに、(4)式に基づいて「電流を起源とする磁場」が生じ、
\(\mathbf{B}\)の生じた場所の周りに、(3)式に基づいて「磁場を起源とする電場」が生じる。
\(\mathbf{E}\)が生じると、(4)に基づいて磁場が発生する。
これらの繰り返しによって、\(\mathbf{E}, \mathbf{B}\)は、\(\mathbf{j}\)が生じた場所を中心に波及していく。
2-3.
(3)の回転をとると、以下のように電場の波動方程式が得られる。
\begin{align*}
\nabla \times (\nabla \times \mathbf{E}) &= – \frac{\partial}{\partial t}(\nabla \times \mathbf{B}) \\
\nabla (\nabla\cdot\mathbf{E}) – \nabla ^2\mathbf{E} &= – \frac{\partial}{\partial t}\mu _0\epsilon _0 \frac{\partial \mathbf{E}}{\partial t}\\
– \nabla ^2\mathbf{E} &= – \mu _0\epsilon _0 \frac{\partial ^2\mathbf{E}}{\partial t^2}\\
\left(\nabla ^2 – \mu _0\epsilon _0 \frac{\partial}{\partial t^2}\right)\mathbf{E} &= 0
\end{align*}
2-4.
波動方程式に(6)を代入して
\begin{align*}
&\mathbf{E}_0(-k^2)cos(kz – \omega t) – \epsilon _0\mu _0\mathbf{E}_0(-\omega ^2)cos(kz – \omega t) = 0\\
&- (k^2 – \epsilon _0\mu _0\omega ^2)\mathbf{E}_0cos(kz – \omega t) = 0\\
&\rightarrow k^2 = \epsilon _0\mu _0\omega ^2
\end{align*}
また、(1)に(6)を代入して
\begin{align*}
\nabla\cdot\mathbf{E} &= \mathbf{E}_0\cdot\nabla cos(kz – \omega t)\\
&= \mathbf{E}_0\cdot(0, 0, -ksin(kz – \omega t))\\
&= \mathbf{E}_0\cdot(- \mathbf{k})sin(kz – \omega t)\\
&= 0
\end{align*}
したがって、\(\mathbf{E}_0 /\!/ \mathbf{E} \perp \mathbf{k}\)であり、電場は波の進行方向に対して垂直である。
2-5.
(7)の回転をとり、\(\mathbf{j} = \sigma\mathbf{E}\)を用いると
\begin{align*}
\nabla(\nabla\cdot\mathbf{E}) – \nabla ^2\mathbf{E} &= – \frac{\partial}{\partial t}(\nabla\times\mathbf{B})\\
– \nabla ^2\mathbf{E} &= – \frac{\partial}{\partial t}\mu\left(\sigma\mathbf{E} + \varepsilon\frac{\partial\mathbf{E}}{\partial t}\right)\\
&= – \mu\sigma\frac{\partial\mathbf{E}}{\partial t} – \varepsilon\mu\frac{\partial ^2\mathbf{E}}{\partial t^2}
\end{align*}
$$\nabla ^2\mathbf{E} – \varepsilon\mu\frac{\partial ^2\mathbf{E}}{\partial t^2} – \mu\sigma\frac{\partial\mathbf{E}}{\partial t} = 0$$
が得られる。\(E_y = E_z = 0\)なので、(8)を代入すると、電場ベクトルのx成分についての波動方程式は以下のように得られる。
$$\frac{\partial ^2}{\partial t^2}E_x(z, t) – \varepsilon\mu\frac{\partial ^2}{\partial t^2}E_x(z, t) – \mu\sigma\frac{\partial}{\partial t}E(z, t) = 0$$
2-6.
$$E_x(z, t) = E_0e^{i(kz – \omega t)}$$
として(9)に代入すると
\begin{align*}
(- \kappa – \varepsilon\mu(-\omega ^2) – \sigma\mu(-i\omega))E_0e^{i(kz – \omega t)}= 0\\
– \kappa ^2 + \varepsilon\mu\omega ^2 + \sigma\mu\omega i = 0 …(A)
\end{align*}
が成り立つ。ここで、\(\kappa = \kappa_1 + i\kappa_2\)(\(\kappa_1, \kappa_2\)は実定数)とおいて(A)に代入すると
\begin{align*}
&- (\kappa_1 + i\kappa_2^2) + \varepsilon\mu\omega ^2 + \sigma\mu\omega i\\
&= -(\kappa_1^2 – \kappa_2^2) + \varepsilon\mu\omega ^2 + (- 2\kappa_1\kappa_2 + \sigma\mu\omega)i = 0\\
\end{align*}
以上より
\begin{cases}
\kappa_1^2 – \kappa_2^2 = \varepsilon\mu\omega ^2 …(B)\\
2\kappa_1\kappa_2 = \sigma\mu\omega …(C)
\end{cases}
が得られる。(B), (C)より
$$4\kappa_1^4 – 4\epsilon\mu\omega ^2\kappa_1^2 – (\sigma\mu\omega)^2 = 0 …(D)$$
が得られる。\(\kappa_1^2 > 0\)の条件のもとで(D)を解くと
$$\kappa_1^2 = \frac{\sigma\mu\omega^2}{2}\left\{1 + \sqrt{1 + \left(\frac{\sigma}{\varepsilon\omega}\right)^2}\right\}$$
よって
$$\kappa_1 = \pm\sqrt{\frac{\sigma\mu\omega^2}{2}}\left\{1 + \sqrt{1 + \left(\frac{\sigma}{\varepsilon\omega}\right)^2}\right\}^{\frac{1}{2}} …(E)$$
が得られる。同様に、(B), (C)から\(\kappa_2\)の四次方程式が得られるので、それを解けば
$$\kappa_2 = \pm\sqrt{\frac{\sigma\mu\omega^2}{2}}\left\{\sqrt{1 + \left(\frac{\sigma}{\varepsilon\omega}\right)^2} – 1\right\}^{\frac{1}{2}} …(F)$$
が得られる。ここで、(C)より\(\kappa_1, \kappa_2\)は同符号であるから
$$\kappa_1 = \sqrt{\frac{\sigma\mu\omega^2}{2}}\left\{1 + \sqrt{1 + \left(\frac{\sigma}{\varepsilon\omega}\right)^2}\right\}^{\frac{1}{2}}$$
$$\kappa_2 = \sqrt{\frac{\sigma\mu\omega^2}{2}}\left\{\sqrt{1 + \left(\frac{\sigma}{\varepsilon\omega}\right)^2} – 1\right\}^{\frac{1}{2}}$$
\(omega \ll \frac{\sigma}{\varepsilon}のとき、これら2つのパラメータの、平方根の部分を展開できるので
\begin{align*}
\kappa_1 &\cong \frac{\sqrt{\sigma\mu\omega^2}}{2}\\
\kappa_2 &\cong \frac{\sqrt{\sigma\mu\omega^2}}{2}\\
&= \alpha
\end{align*}
となる。以上より\(\kappa = \alpha(1 + i)\)と書くことができる。よって
\begin{align*}
E_x &= E_0e^{i\alpha(1 + i)z – i\omega t}\\
&= E_0e^{-\alpha z + i(\alpha z – \omega t)}\\
|E_x| &= E_0e^{\alpha z}
\end{align*}
よって、\(\frac{E_x(z, t)}{E_x(0, t)} = \frac{1}{e}\)
となるとき、\(e^{-\alpha \delta} = \frac{1}{e}\)が成り立つので、
$$\delta = -\frac{1}{\alpha}$$
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